OBDLinkはどれを選ぶ?LX・MX+・CX・EXの違いと活用法

OBDLinkは「警告灯を消す道具」ではありません
OBDLinkは、車のOBDIIポート(多くの車で運転席の足元にあります)に挿して、車両のコンピューターと会話するためのアダプターです。エンジンチェックランプ(警告灯)の内容を読んで消す道具として知られていますが、それは機能のごく一部です。
実際に使い始めた方が「これのために買った」と言うのは、たいてい次のような使い方です。
- サーキットやジムカーナで、回転数・スロットル開度・水温・速度を記録する
- 走行動画にその数値を重ねて保存する
- 追加メーターを増設せずに、スマホの画面でブーストや油温・水温を見る
- BMW / MINIでコーディング(設定変更)をする
- Ford / MazdaをFORScanでディーラー並みに深く診る
そして、ここが選び方の話につながります。OBDLinkは4機種あり、どれを買っても同じというわけではありません。使うスマホのOSと、やりたいことで決まります。
まず結論:目的別の選び方
- iPhone / iPadで使いたい → MX+ または CX。LXはiOSに対応していません。ここが最大の分かれ目です。
- Android / Windows PCで使う、費用を抑えたい → LX。診断もRaceChronoの記録も、これで一通りできます。
- BMW / MINIのコーディング(BimmerCode・BimmerLink)→ CX。BimmerCode向けに設計された機種です。
- Ford / Lincoln / Mercury / MazdaをFORScanで診る → EX。USB接続で、Ford系のMS-CANに対応します。
- GMのSW-CAN、FordのMS-CANまでワイヤレスで触りたい → MX+。ワイヤレスでここまで対応するのはMX+だけです。
4機種の違い
OBDLink LX — Android / Windowsで使う定番
OBDLink LXはBluetooth接続で、Windows PCとAndroidに対応します。iOS(iPhone / iPad)には対応していません。ここを見落として買うと、そもそもつながりません。SW CAN(GM)およびMS CAN(FORD)には非対応です。OBDIIの通信プロトコルは全て網羅しており、一般的な国産車・輸入車の診断とデータ取得には十分です。PC用の診断ソフトOBDWizが付属します。
OBDLink MX+ — iPhoneでも使える上位機
OBDLink MX+はBluetooth接続で、iOS(iPhone / iPad)、Android、Windowsのいずれにも対応します。加えてSW CAN(GM)とMS CAN(FORD)にも対応しており、LXでは触れない領域まで届きます。iPhoneユーザーで、かつワイヤレスで使いたいなら基本的にこの機種になります。
OBDLink CX — BMW / MINIのコーディング向け
OBDLink CXはBimmerCode専用に設計され、BimmerCodeチームから推奨されている機種です。BimmerCode対応車両と機能を100%網羅し、iOS / Androidとアプリ内で簡単にペアリングできます。コーディングで怖いのは通信が途中で切れてECUを壊すことですが、CXはデータ破損を避ける安定した接続を売りにしています。無料のOBDLinkアプリでライブデータの監視や警告灯の消去もできます。
OBDLink EX — USB接続、FORScan用
OBDLink EXは唯一のUSB接続モデルです。無線ではないぶん取り回しは限られますが、FORScan(Ford・Lincoln・Mercury・Mazda専用ソフト)に対応し、Ford系のMS-CANネットワークまで読めます。対応OSはWindows(Vista〜11)。AndroidでもUSBホストモード対応機に別売のOTGケーブルを介して使えます。PC用のOBDWizが付属します。
なお、どの機種もBatterySaverを採用しています。車に挿したままにしても待機電力を抑えるので、走るたびに抜き差しする必要がありません。地味ですが、常用するなら効いてくる部分です。
サーキット・ジムカーナでのデータ記録
LX・MX+・CXはRaceChronoに対応しています。スマートフォンのアプリと組み合わせると、走行中に次のようなデータを取り続けられます。
- エンジン回転数:シフトアップのタイミングが適切だったか、後から見返せます
- スロットル開度:「全開にしたつもり」が何%だったのかが分かります。踏み込みの遅れは体感では気づけません
- 水温・油温:周回を重ねてどこまで上がったか。ペースを落とす判断の材料になります
- 速度:各コーナーの立ち上がりと、ストレートエンドの伸び
ここで押さえておきたいのは、OBDアダプターは「車のデータ」を取るもので、「位置と時間」は取れないということです。ラップタイムやコース上の位置は、GPS側の仕事になります。スマートフォン内蔵のGPSでも記録はできますが、測位が1秒に1回のため、ラップタイムの精度もコーナーの分解能もかなり粗くなります。
本気でタイムを削るなら、10Hz以上のGPSロガーと組み合わせるのが定番です。詳しくはGPSラップタイマーの選び方にまとめました。OBDLinkで「車が何をしていたか」、GPSロガーで「どこを何秒で走ったか」——この2つが揃うと、タイムが出なかった原因を具体的に特定できるようになります。
走行動画に数値を重ねる
RaceChronoなどのアプリでスマートフォンの映像とOBDのデータを同時に記録すると、回転数・スロットル開度・水温・速度が映り込んだ走行動画ができます。あとから自分の走りを見返すときに、「ここでアクセルを戻しているのが分かる」という形で問題が見えるのが強みです。文字どおり、体感の答え合わせができます。
SNSやYouTubeに上げる映像としても、データが載っているだけで説得力が変わります。
追加メーターを増やさずに数値を見る
追加メーターを後付けするには、センサーの取り回し、配線、そして何よりダッシュボード上の設置スペースが必要です。OBDLinkとアプリの組み合わせなら、ブースト・水温・吸気温・O2センサー電圧・燃費といった数値を、増設なしでスマホの画面に出せます。
車内をすっきり保ちたい方、リース車や売却予定があって内装に手を入れたくない方には、この使い方がいちばん現実的です。※取得できる項目は車種によって異なります。年式が古い車ほど、読める項目は少なくなります。
国内正規品・技適・3年保証について
当店で扱っているOBDLinkは国内正規品です。LX・MX+・CXは技適マーク取得済みで、3年保証が付きます。
OBDアダプターは無名の安価品が非常に多く出回っているジャンルですが、違法なコピーチップを採用した偽物・ノーブランド品は、接続が切れる、数値が飛ぶ、そもそも認識しないといった不安定さが報告されています。走行データの記録中に切れれば、その周のデータは残りません。コーディングの途中で切れれば、被害はもっと大きくなります。
また、Bluetoothを使う機器を日本国内で使用するには技適が必要です。ここも正規品を選ぶ理由のひとつになります。
よくある質問
iPhoneで使いたいのですが、LXでも大丈夫ですか?
いいえ。LXはiOSに対応していません。iPhone / iPadでお使いになるなら、MX+またはCXをお選びください。
LXとMX+、どちらを選ぶべきですか?
使うのがAndroidとWindows PCだけで、GMのSW CANやFordのMS CANに用がなければ、LXで問題ありません。iOSを使う、あるいはSW CAN / MS CANに対応させたいのであればMX+です。
車に挿したままにしてもバッテリーは大丈夫ですか?
各機種ともBatterySaverを搭載しており、挿したままの運用を前提に作られています。ただし長期間まったく乗らない場合は、念のため外しておくと安心です。
どの車でも使えますか?
OBDIIポートを備えた車が対象です。ただし読み取れる項目は車種・年式によって異なります。OBDIIで規定された基本項目は共通ですが、それ以外のメーカー独自の項目は車によります。
診断ソフトは付いていますか?
LXとEXにはPC用の診断ソフトOBDWizが付属します。MX+もOBDWizを無償でご利用いただけます。スマートフォンでは無料のOBDLinkアプリのほか、TORQUE、DashCommandなどの対応アプリが使えます。
警告灯を消したら、故障は直りますか?
いいえ。警告灯の消去は記録をリセットするだけで、原因が直るわけではありません。原因が残っていれば、しばらく走ればまた点灯します。まずコードを読んで、何が起きているかを確認してください。
商品の状態はどうですか?
新品・未使用品・国内正規品です。新品ですが、製造過程・輸送時・保管時等についたと思われる若干の小傷等がある場合が稀にございます。
OBDLinkは、警告灯を消すためだけに買うと少し高く感じる道具です。ただ、走行データを記録する、動画に重ねる、メーターを増やさずに数値を見る、コーディングする——このどれか1つでも使い道があるなら、費用対効果は一気に変わります。機種選びで迷われたら、お使いのスマートフォンのOSと、やりたいことをお知らせいただければご案内いたします。
※本記事は一般的な情報をまとめたものです。適合・仕様・使用条件は、必ず各商品ページの記載および メーカーの公式情報をご確認ください。取り付け作業に不安がある場合は専門店へご相談ください。
